編集後記

摘要

10数年かけて竣工した神奈川工科大学KAIT広場(82頁)は,まるで雲や木漏れ日のような自然現象が建築で感じられるブロジェク卜です.しかしそこで実現されているのは，空間体験と実際の距離の多元的な様子で，人の過ごし方，互いの関係がちょっとずらされ.人やものの集まり方がつくられているようでした.白井屋ホテル(100頁)は既存の構造と緑の丘により，街とランドスケープを建築で関係付け，谷ロ吉生さhは，谷ロ吉郎'吉生記念金沢建築館(64頁)で父，谷ロ吉郎との関係を，場所，時間を繫いだ建築として試みられています.他にも，三栄建設(118頁)やHANEDA INNOVATION CITY(128頁)ではデジタルテクノロジーを新たに建築に取り込み，日霣一日(146頁)などは地域の関わりを設計しています.掲載している他のプロジェクトでも，設計の対象が敷地に閉じることの不自由さから開放しようとする試みであるように思います.建築論壇の石上純也さhと藤本壮介さhの論文は，違う言葉で語られていますが，変化する時代の中で未だ変わらない建築の不自由さから次に向かおうとする試みが感じられます.