AOYAMA花苑

摘要

ロードサイドショップは商店街などとは違い，走行する車からでも店を認識させる必要がある。そのために大きな看板と広い駐車場が口ードサイドに並hでしまうことが多く，屋外広告物の氾濫や景観破壊が問題視されている。「AOYAMA花苑」は兵庫県姫路市の国道沿いに建つロードサイドの生花店である。敷地は多くの車が往来する国道と古くからの街並みの残る旧街道に挟まれており，閉店時であっても屋外広告物に頼らずに。国道を行き交う車窓からの視認性の確保と，合わせて街の公園のように自然光を浴びた草花や植物の中を散策でぎるようなショップを目指した。多くのロードサイドショップがそうであるように，駐車場に停まる車がフアサードに並ぶことを避け，国道と旧街道からの動線を確保しつつ，必要をお客樣用駐車場とサービス用駐車場を西側と北東側にまとめて計画し，中央のスペースにパーゴラのような4つのフラッ卜ルーフを配置した。通常よりも高い軒高のフラットルーフの下に，別レイヤーとして公園のようなランドスケープと商品を陳列しやすい腰壁をレイアウ卜した。そのため季節や時間によって陽の当たり方が違うさまざまな場所が生まれ，季節の草花や植物を最適な場所で見せることができる。4つのフラッ卜ルーフはスパンにより背の異なる垂木がそれぞれ最適なピッチで架けられ，その向きを90°回転し隣接する。垂木の向きが変わることで，来店者はその方向に視線が誘導され，垂木の重なる位置で視線の向きを90°変え，また次の方向に誘導される。垂木の重なる格子状の部分を卜ップライ卜とすることで，屋内を外部と同様に明るく保ちながらも，ルーバー状の垂木によつて直射日光が入りすぎないようにコントロールしている。フラットバーによるシンプルなスチールサッシにより，屋内外を視覚的に繋ぐことで，境界が暖眛なまま周辺の風景を室内に取り込む。パーゴラのような垂木とランドスケープのような腰壁の間から見える古い街並みや青い空を背景に，さまざまな種類の植物をみることができる公園のような生花店により，殺風景になりがちなロードサイドの風景にー石を投じることがでぎればと思う。