編集後記

摘要

建築は，街や周囲の建築，ランドスケープなどさまざまなものと関係を持ちながら環境をつくることができます.そうした周囲を読み取り，引き継ぐ時に，多くの人が関わり，時間をかけることが大切なことかもしれませh.20年かけて紡いできた日向市のブロジェクトでは，「何もない」ところに活動を生み出し，高知の竹林寺本坊·庫裏（50頁）では石垣や既存の形態を引き継ぎながらも，新しい関係がつくられています.千葉のmitosaya薬草園蒸留所（70頁）では既存の建築や屢園に少しだけ手を加えることで新しい環境がつくられています.時間やその場所の痕跡を紡いでつくられる建築は，派手なところは少ないかもしれませhが，しみじみとした都市の断片となり，新たな環境の一部になっていくように思います.一方で，デジタルツールによって施工から環境までコントロールするEQ House (116頁）や，森を建築内部につくり出すジュエル·チャンギ空港（124頁）なども違った方法で環境を読み取る試みのひとつかもしれませh.どのようにして建築が環境をつくり出せるのか.まだまだ模索が続きそうです.