秋葉原アイマークビル

摘要

敷地は，昭和通りと蔵前橋通りの交差点に位置し，アクセスには好立地でありながら，目の前に高速道路，付近には鉄道の高架橋や万世橋といった近代架構が残る秋葉原にあり，街並みに埋もれない力強さを持つファサードを目指した.同時にオフィスとして無柱大空間の要求に応えるべく.当社独自技術である「シミズPS-HyECOS構法」を採用し，鉄筋コンクリート造の構造体をそのまま外装としたファサードデザインと，20mを超えるロングスパンの無柱空間を実現している.また，短ェ期化やコスト削減にも繋がっている.外装は外周部の鉄筋コンクリート柱と内部鉄骨梁の接合部を剛接合として鉄骨梁の成を抑え，接合部の鉄筋コンクリート根巻部にプレストレスを導入することにより剛性を高めている.この構造システムがっくる開口部を穿つようにして設けたGRC庇は直達日射をカツトし，上部スリット状の開口は光拡散フィルムを施し，自然光を居室奥深くへと導くライトシエルフに利用している.メインファサードが西向きであってもPMVの快適域±0.5の範囲に納まるよう，トリプルLow-Eガラスの採用やブラインドとの間にたまった熱気を抜く簡易エアフローシステムの導入，さらにBCP用に設けた換気装置を組み合わせた，構造システムと環境装置の集積をファサードデザインとした.鉄筋コンクリート化により鉄骨造と比較して工期が伸びることが懸念されたが，外周部の鉄筋コンクリート柱と梁をすベてPCa化し.鉄骨造と同じ工期になるよう企画段階から施工検討を進め設計に反映し，PCaの断面形状を統一•単純化，接合部はグラウト継手方式による配筋作業の最小化を追求した.工業化により現場での作業員労働時間は，鉄骨造で建設した場合と比較して67%に削減することができた.建設業においても，働き方改革の推進が進められている中，均一で高品質な構造架構と力強いファサードを生産性の向上を図りながら実現している.また現代の社会が求める建築への投資条件の変化として，建築の省エネルギー化を図りつつユーザーの健康を第一に考える「eco+WELLNESS」の観点で，ワークスペースはシステム天井を利用した放射空調システムを開発•導入した.それにより，「LEED Gold」と，マルチテナントオフィスとして首都圏初の「ZEB Ready」の第三者認証を取得している.