住まいにおける新たな時代の始まり

摘要

まず大きな話をすると，私たちは今，日本や東京というレベルではなく，人類史的に近代の終焉に立ち会っているのだと思います.それはとても大きなスケールの話なので見えづらいのですが，今日の集合住宅に起きてきている現象ちその背景に重ねてみる必要があると思います.ひとつ目の変化は生物的なレベルで起きています.人間の寿命がどんどん伸び，今や人生100年が当たり前になりつつあります.その一方で，どんどん子どもを産まなくなっているし，晩産化も進んでいます.日本の現在の合計特殊出生率は1.4です(2017年.厚生労働省).その子どもが30年後にまた1.4しか産まないとすると，人口は0.7x0.7=0.49となり，わずか60年ほどの間に出生数は半減します.つまり指数関数的に人口が減り始めてし)るのです.戦後からわずか70年間で人生60年が100年と1.7倍にもなり,一方で種としての数を減らすという，生物としてとんでもない状況が起きているのです.