ホコリヒ幻想 映画『ホコリと幻想』 鈴木聖史監督に聞く

摘要

ある日ふらっと故郷の旭川に帰ってきたアーティストの松野。久しぶりに同級生たちと杯を交わすうちにふと目にした、市が募集する木工モニュメントの制作者募集のチラシを手をとり、これこそ自分が故郷に戻ってきた理由だと息卷く。東京から帰って来た松野を信じ、同級生たちが着々とモニュメント制作の企画を進めていく中、松野は何も作れないまま時間がいたずらに過ぎ、友人たちの松野に対する疑心暗鬼と、松野の焦燥が交錯するなか物語は進んでいく。松野を演じるのは北海道を中心として全国区で活躍する演劇集団「TEAM NACS」の戸次重幸。東京帰りのいけ好かない青年をうまく演じている。その他にも松野の学生時代の恋人であり、現在は同級生と結婚している美樹に美波。同級生を遠藤要、内田朝陽、奥山佳恵が演じ、松野の帰郷で振り回される地元の同級生を好演している。本作『ホコリと幻想』を制作した鈴木聖史監督は、現在38歳。企画から脚本、編集、監督までをこなす映像クリエイターだ。本作が2010年に公開された『ある夜のできごと』に続く2作目の劇場用映画だ。学生時代に携わった東映撮影所での編集業務を通して映画制作に触れ始め、短編の自主映画や『case-1』（2004年）、『case-2』（2006年）、『始まりの場所』（2007年）といった長編自主映画を制作、インディーズムービーフェスティバルやPFFといったフィルムコンペや映画関係者から多くの評価を得ている。実は鈴木監督は現在医療系の企業に勤務するサラリーマン生活を送りながら、映画制作をおこなっているいわゆる兼業映画監督だ。