トライボロジーの未来と工学教育

摘要

大学における工学教育のあり方が検討されてい る.近年の情報通信技術開連の急速な進展が産業や社会の急速な構造変革をもたらし，第4次産業 革命や超スマート社会がうたわれる中で，戦略的 に強化すべき基盤技術として，AI (人工知能)， IoT (Internet of Things),ビッグデータ解析技術， システム構築技術，サイバーセキュリティ技術な どが挙げられる.このような社会.環境が激変す る中，日本の基盤技術を俯瞰すると，個々の要素 では技術世界トップレベルの分野がある一方で， システム化や統合化の点では国際的な立ち後れが 指摘され，早急な対策の立案•実施が要請されて いる.システム化や統合化の立ち後れの原因とし ては，我が国の科学技術•知的生産の基本的構造 が,現場的な実学を重視した工学から発祥し，帰 納的プロセスに基づく真理の探究に重点が置かれ たことが挙げられる.今後は，仮説演繹プロセス に基づく価値の創造に対する研究•開発の推進が 求められることとなる.