[~(11)C]MNPAおよび[~(11)C]racloprideを用いたヒト生体内D_(2/3)受容体の測定再現性に関する研究

摘要

ドーパミンD_(2/3)受容体(D_(2/3)R)は内因性ドーパミンに結合する機能的状態（D_(2/3)high,高親和性状態）と非機能的状態（D_(2/3)low,低親和性状態）の2形態をとると考えられている.D_(2/3)highは(R)-2-11CH30-N-n-propylnorapomorphine ([~(11)C]MNPA),両形態は[~(11)C]racloprideを用いたpositron emission tomography (PET)により測定できると考えられている.したがって受容体密度を反映する両放射性リガンドの受容体結合能（BP)比は，D_(2/3)Rの中のD_(2/3)high比率を反映していると考えられている.本研究では，両放射性リガンドを用いたD_(2/3)highの測定信頼性を[~(11)C]MNPAおよび[~(11)C]racloprideのBP比を用いて検討した.11名の健常男性ボランティアが研究に参加し，別日にそれぞれ2回の[~(11)C]MNPAおよび[~(11)C]racloprideを用いたPETスキャンを行った.モデル解析により両放射性リガンドの尾状核および被殻におけるBP値を求め，両リガンド比の被験者内変動とintraclass correlation coefficient (ICC)値を用いて，測定再現性を求めた.尾状核および被殻における[~(11)C]MNPAおよびひ~(11)C]racloprideのBP比の被験者内変動はそれぞれ，6.11±3.68%,11.6±5.7%であり，ICC値はそれぞれ0.79,0.80であった.これらの結果から，D_(2/3)high比率を反映する[~(11)C]MNPAおよび[~(11)C]racloprideのBP比は信頼性のある測定値であると考えられた.