第23回秋季セミナー「ものづくりの潮流:価値創造の進路を求めて」

摘要

第23回秋季セミナーは，平成28年11月10日(木)，11日(金)の2日間にわたり，大阪大学中之島センターて開催された.近年，インダストリー4.0等に代表されるように，IoTを活用した新しいものづくりの形が提唱されるなど，製造業を取り巻く状況は大きな変化の兆しを見せている.ただし，それはあくまでも手段であり，それを使って何をするかについては，どのような製品をどのように提供したいのかにかかってくると思われる.一方で，消費者の価値観はますます多様化し，安ければ売れる，高性能であれば売れるという時代では既にない.製品を提供する側は，個々の消費者が持つ価値観を的確に判断する必要がある.しかし，消費者は自身の内在的な欲求を常に意識している訳ではない.より安く，より高性能に，という連続線から逸脱した製品が発表された時に，大多数が「そうそう，私が欲しかったものはコレだった」と初めて気づぐそう考えると，どのような製品をどのように提供するのか，これが新たな価値を生み出すきっかけになるとも言える.そこで今年度は，「ものづくりの潮流～価値創造の進路を求めて～」をテーマに講演会を企画した.産·官·学の分野からお招きした講師による3件の特別講演と，新素材，ウェアラブル·デバイス，FRP，そしてデザイン·評価という4つのテーマ別講演，加えて，繊維関連公設試によるポスター発表，本学会の技術賞受賞講演も実施したところ，約130名の皆様に参加していただくことができた.実行委員各位をはじめとした関係各位のご尽力により，有益なセミナーが開催できたと考える.以下に今季セミナーの講演概要を紹介するので，皆様の今後の取り組みの一助になればと思う.