診療におけるCT検査の視点から

摘要

未曾有の震災が引き起こした福島原究事故は，同じ放射線を使って従事する診療現場においても大きな衝撃を与えることになった.日頃，放射線検査に従事する私たちも放射線被ばくについて再教育を受けることになり，低線量被ばくの影響について不明確さ，不透明さを改めて認識するに至った.そして，CT検査部門を統括する著者自身もせわしい現場環境に甘え，高線量装置を使用するCT検査の被ばく線量を十分に理解·把握し，スタッフに対する教育がおろそかになっていたことも事実である.幸い，当院ではGE Healthcareのサポートから，dose index registryソフトウェア（DoseWatch)を早い時期に借用し約1年間試用する機会に恵まれた.短い試用期間ではあったが，断片的に捉えていたCTの被ばくを.装置の安全規格から日常的なスキャンプロトコルの管理，そして線量指標の把握•活用に至る一連の業務に展開することになった.本稿では，DoseWatchの試用経験を基に，その有用性と問題点.そして今後の展望について記述する.