MR検査 脊椎

摘要

【目的】腰部脊髄近傍の脈管信号を効果的に抑制して腰部神経根を描出するMR Neurographyには幾つかの方法論が存在する.今回，方法論の違いによる描出特徴の把握と，新たに考案した方法の効果を評価する目的で比較検討を行った.【方法】使用装置はPhilips社製3T.比較対象はSE-EPI DWIと同様なシーケンススキームを先行パルスに用いてMPGを印加するMSDE法(motion sensitized driven equilibrium)と，MSDE法にPhase cycling技法を加えたDSDE法(Diffusion sensitized driven equilibrium),および新たに考案したPhase Contrast MRAのMagnitude imageを活用した手法(PC法)の3法.撮像法はいずれも脂肪抑制を付加した3D-Gradientecho法がベースである.評価には試料Phantomおよび院内倫理規定に則って施行されたボランティアの撮像を利用.分解能と撮像時間を同等に整えたうえで最適なコントラスト条件を作成し，SNRとCNRを比較した.【結果】MSDE法が最もSNRが高く，次にPC法の結果であった.腰筋-後神経節(臨床•モデル試料)のCNRはDSDE法が優れ，MSDE法とPC法は同様な傾向であった.脈管信号の抑制はMSDE法やDSDE法で容易であった.PC法でもある程度の抑制効果を呈し，良質なMR Neurographyを得ることが可能であったが，最も強いbipolar gradient(velocity=1cm/s)を用いても僅かに脈管が消え残るケースが存在した.