脳腫瘍の放射線領域での治療について(2): 粒子線治療を中心として

摘要

陽子線治療は正常組織の線量を減らしつつ，大きな病巣に高線量を照射することに適した治療である.炭素線と比べてX線に近いRBEであるため運用しやすいことが特長である.重要なリスク臓器が近接して存在する脳腫瘍に対する放射線治療としては線量分布の点で優れた治療であるといえる.しかし今のところ保険適応外の高額な治療法であり，一般に広く普及してゆくには時間がかかると思われる.また臨床経験からはX線よりも効果が高い，あるいは副作用が大きいことが示唆されるため，症例の蓄積と適切な照射法の検討が今後も必要であると思われる.