PPP/PFIのインフラ分野への展開

摘要

民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(PFI法)は1999年7月に制定された。筆者はその直前、ちょうどg年前の本誌に「日本におけるPFI導人の展望と課題」と題して記事を寄稿している。土木学会誌でPFIを本格的に扱った最初の記事である。その記事では当時は一般になじみが薄かったPFIに関して、英国での実情を踏まえたうえでわが国でのあるべき事業方式に関して論じた。その基調としては、わが国においても、英国で実施されていた道路をはじめとするインフラ事業への導入がすべからく始まるものとの期待があった。しかしながら、わが国における土木インフラに関わるPFI事業はいまだきわめて限定的である。一方でPFI事業の件数は建物案件を中心に、時期によつて変動はあるが着実に増加し、内閣府PPPPFI推進室資料によると2018年3月時点で666件となつている。その後、本誌の第97卷第11号(2012年)や第99卷第23号(2014年)などにPFI関連の記事を寄稿しているが、それぞれの時点における状況を踏まえ、インフラ分野への導入促進の期待を込めての内容となっている。本稿では、わが国におけるPPP/PFIに開わる現状を概観し、これまでの記事の内容にも触れながら、改めて今後の展望について考えてみたい。