一人対多人数講義における講義者の分身エージェントシステムの提案

摘要

大学や学会などで行われる，多人数の聴講者を対象とする講義や講演では，講義者の音声が聴講者全体に聞こえるように，大きな肉声やラウドスピーカを用いることが一般的である．このような，一人対多人数コミュニケーションの形態では，一度の発話で大勢の聴講者に情報伝達ができるという点がメリットであると考える．一方，デメリットとして，聴講者が個別で質問したい場合に，他の聴講者に質問内容が聞こえてしまい，集中度を下げたり，質問しづらいなどの問題が発生する可能性がある．また，これにより，講義者，聴講者共に気後れが生じる可能性もある．講義者が講演中に質疑応答の時間を別途設けたり，講演後に聴講者が講義者に質問することで，個別の疑問に答えることはできるが，講演中の様々な疑問はリアルタイムで解決されず，時間の経過により聴講者が忘れてしまう可能性がある．