文献紹介

摘要

光カチオン重合性塗膜の官能基にエポキシ基がよく使用される。しかし，エポキシ基は高価でありかつ毒性が強い。一方，オキセタンは作りやすくかつ毒性も弱い。しかしながら，理由はよくわからないがオキセタン基のカチオン重合が開始するまでの誘導期が長く利用の妨げとなっている。オキセタンのカチオン重合はいったん開始すると自己発熱して素早く重合するので，この解決のためにすぐに重合を開始するエポキシ基をオキセタン基に混合する系が検討されている。シクロオキセタンは光開始剤を加えて光を照射するとただちに重合を開始するが，3-エチル-3(2-エチルへキシルオキシメチル)オキセタンは60秒の誘導期の後重合を開始する。2官能のエポキシ化合物(3，4-エポキシシクロへキシルメチル3′，4′-シクロへキシルカルボキシレイト)と，同じく2官能のオキセタン化合物(ビス{〔1-エチル(3-オキセタニル)〕メチル})を混合して効果を調べた。オキセタン化合物の8に対して1のエポキシ化合物を加えた場合の誘導期は42秒であり，2に対して1加えた場合には15秒であった。