文献紹介

摘要

ポリウレタンは塗料において非常に有用な樹脂である。しか し，ポリウレタン単独では耐食性がよくないので，鉛•亜鉛• クロムなどが加えられてきたが,害のない電導性ポリアニリン の添加も有用であることがわかり注目されている。問題はポリ アニリンが溶けにくくポリウレタンマトリックスと分離しやす いことである。この報告では共有結合で結ばれて分離しないグ ラフトポリマーの合成のためにウレタンプレボリマーと混合し て使用した。ポリアニリンとして置換基が水素のみであるポリ アニリン（PANI),一つの置換基がOH基であるポリ-m-アミ ノフエノール（PmAP),置換基の一つがOMeであるポリ-o-アニシジン（PoA)の三つを使用して耐食性を比較検討した。 塗板における電気化学反応の速度をターフェル分極から推定し たところ，PANIおよびPmAPには大きな効果があった。ソル トスプレーテストの結果では添加なしでは72時間で錆が発生 したが添加物はいずれも216時間続けることができた。