文献紹介

摘要

水との接触角が150°よりも高く，滑り角が10°以下である超 撥水性素材は自己洗浄性塗膜の実用性のある候補である。しか しながら，多くの撥水性表面はオイル性の汚染物質によって傷 つきやすい。有機汚染物質のもう一つの確かな除去手段は光触 媒による分解法である。一般的にはチタン白が使用される。超 撥水性と光分解性の二つを兼ね備えている自己洗浄性塗膜の開 発は新規な特記すべき開発である。光触媒性をもつ複合体 (TiO_2/MoS_2)は半導体の性質をもつモリブデンジスルフィド (MoS_2)とTiCl_4の反応で作られる。次に，メトキシシラン (MTES)と反応する。MTESのエトキシ基は酸で加水分解して TiO_2/MoS_2表面と結びつきポリメチルセスキオキサン（PMSQ) を形成して超撥水性粒子となる。この粒子をポリジメチルシロ キサンフィルムの上にふるいを使って全表面が覆われるように 振りかける。付着しないものは水で洗い流す。このフィルムの 性能を，汚染物質としてメチルオレンジを使用して測定した。 超撥水性と光分解性は，5回の繰り返し後も接触角は154°であ り分解能は94%残っていた。また，滑り角はおよそ4°であった。