多感覚が捉える世界

摘要

視覚，聴覚，触覚，味覚，嗅覚といった感覚のことを感覚モダリティ(sensory modality)と呼ぶ。私たちは，様々な感覚モダリティを通じて，多感覚的に世界を捉えている。個々の感覚モダリティが運ぶ情報には二つの種類がある。一つは，各モダリティに固有の情報，すなわち視覚なら視覚，聴覚なら聴覚でしか伝達できない情報である。例えば「色」は視覚でしか伝えられない。もちろh「赤というのはこういう色である」と力、，「このパレツトにはいろいろな絵の具が出されている」というような説明は他の感覚(例えば音声)でもできるが，実際にその色を見てどhな色かを「感じる」のは，視覚にしかできない。また，例えば「音の高さ」は聴覚でしか伝えられない。「譜面にこういつたメロディが書かれている」とか，「ピアノの鍵盤のこことここを押さえている」というような説明は他の感覚(例えば映像)でもできるが実際にどhな風にその音が聴こえるのかという感覚それ自体は，聴覚でしか伝えることができない。