長時間多点同期モニタリングによる地域の音環境の可視化

摘要

新しい住環境を人々が選択するとき，周辺の音環境については，日照や眺望，交通の便などと比べて軽視されがちである。しかし，住宅地域の音環境は，家族の健康的な生活を維持するうえで，また子供の健全な成長を見守るうえで重要な要素であることは間違いない。その意味で，道路交通騒音や航空機騒音など音響的にネガティブな音源ばかりでなく，季節による小鳥の鳴き声や虫の音などの自然音の変化にも耳を傾けられるような静けさがある環境なのかを事前に判断したいところである。ところが，その場所を下見した際には特に騒音が気にならなかつた場所でも，しばらく住hでみて初めて，夜間に特定の音が非常に気になる，あるいは気象条件によっては遠方からの伝搬音が思いのほか大きい，などに気付くことがある。特に音の伝搬に対する気象の影響については年間の変動が軽視できないくらい大きく，特定の1日だけではその場所の年間を通した音環境をイメージすることは難しい。もしその地域の音環境のことをある程度でも事前情報として得ることができれば，「こhなはずじゃなかったのに」と後悔する人を減らすことができる。