築地市場の豊洲移転問題

摘要

小池百合子東京都知事は2016年8月31日の記者会見で，同年11月7日に予定していた築地市場の豊洲新市場への移転延期を発表した.その後，9月7日に日本共産党都議団の現地調査で，新市場の主な建物の下が土壌汚染対策の柱とされた「盛り土」が行われず，地下空間となっていることが判明した.小池知事は9月10日の緊急記者会見で，「すベての場所が盛り土されているというのは正しくない」と公表した.この小池知事の公表時点でも，東京都は2009年2月に発行した「築地市場の移転整備　疑問解消BOOK」に，「専門家会議の提言を踏まえた技術会議の土壌汚染対策(概念図)」を都のホームページに掲載していた.この図では，市場建物の地下は，海抜2.0mの上に50cmの砕石層を敷き，その上に4mの「盛り土」を行なうことになっている.つまり，東京都は土壌汚染対策が完了したうえで豊洲新市場の建設と移転を進めようとした前提が崩れたのである.東京都は8年間も市場関係者，東京都民，都議会，農水省などに虚偽の説明をしていたことになる.