英国における歴史的橋梁の保全黎明期における議論の展開: ウォータールー橋保全問題1924-1937

摘要

第一次世界大戦後のロンドンは、大量に流入した労働者や大戦から復員した軍事関係者への住宅供給の必要性に迫られ、急速に都市が拡大していた。ロンドン中心部でも再開発が行われ、多くの建物が短期間に大量に取り壊された。また、ロンドン中心部ではトラムや地下鉄等の都市内交通網の発達や自家用車の普及に伴い、交通需要も格段に増加し、テムズ川の橋梁群は新設や拡幅、架け替えが行われていた。この中には1937年に取り壊されたアデルフィ•テラスや1934年に撤去されたウォータールー橋等、ロンドンやテムズ川河畔の景観を代表するジョージアン様式の歴史的建造物も多数、含まれる。この時代は当時の文化財行政等による保護の対象ではない近代建造物の歴史的、景観的価値を評価する人々による保全運動が盛んとなった時代でもあった。%In 1920, many hisotrical bridges faced a threat of demolition and some conservationists and organisations acted to conserve them. This paper aimed to describe a discussion devfelopment of a historical bridge conservation, the Old Waterloo Bridge in the United Kingdom, between 1924 and 1937 in detail and to realise features of discussion of the day in the United Kingdom. The findings of this study can be London County Council, which was owner or the bridge, changed from their demolition policy of the bridge to conservation three times by conservationists protest.