古代日本における建物の維持管理に対する公的概念の萌芽と修理体制

摘要

This study aims at the germ of public concept to building maintenance and the maintenance organization in ancient Japan. The aims of this article are below.1.The resolution of the germ time of public concept to building maintenance 2. The establishment of maintenance in ancient period As a result, the public concept of building maintenance appeared in Tbnpyo Period, and the maintenance organization was established in the latter half of Nara period. And I re-assemble the document about the unification and abolition of construction organization in Heian Period.%以上、文献資料をもとに、建物の維持管理に対する公的概念の萌芽及び修理組織とその職務を明らかとした。天平期に建物の維持管理に対する概念の顕在化が確認できるが、実質的な法的整備は遅れ、奈良時代後半に入って、計画的な維持管理に対応するため、修理組織として修理司がはじめて組織された。この組織の実態は不明であるが、少なくとも、神護景雲2年(768)から天応元年(781)頃まで存続しており、その四等官制から組織の格が「省」に近いと推察できた。また修理司の成立以前には、主に地方の個別の災害などに対応するために、一時的な修理の任を有した「使」や修理専門の「専知官」を任じて、維持管理に当たっていた。