W•K•バルトンが濃尾地震後に大垣で撮影した写真と撮影地点について[THE GREAT EARTHQUAKE IN JAPAN, 1891.』の研究その5

摘要

筆者はこれまで明治24(1891)年10月28日に発生した濃尾地震に おいてバルトンとミルンらが写真記録集としてまとめた『THE GREAT EARTHQUAKE IN JAPAN, 1891.』（以下、GEJ)について考察を 加え、同書は初版、2版に各2刷まであることや、各発刊日を示し た。またGEJに掲載の被災地写真34枚中25枚をバルトンが撮影 し、写真解説の20%以上が『THE JAPAN WEEKLY MAIL. 』紙から の引用であることを示した。そして、調査の日程はバルトンが地 震発生の10月28日中に東京を発ち、名古屋、岐阜、笠松、根尾谷、 大垣を巡り、神戸から11月10日に横浜へ帰着したことを示した。ところで、GEJに所収される写真の内、大垣で撮影された2枚は具 体的な撮影地点が従来明らかではない。一方、バルトンは被災地で 72枚の写真を撮影したが、GEJへの所収は25枚に過ぎず、未所収 の47枚に大垣で撮影された写真の存在する可能性がある。そこで 本稿ではバルトンが大垣で撮影したと考えられる写真を示した 上で、その撮影地点を明らかにすることを目的とする。