規矩術による木質ジオデシックドームの検討

摘要

本研究は，規矩術という伝統的で高度な計算手法を用いて木造多面 体ドームの部材角等を求め，幾何学的な計算結果との整合性を図ると 共に，小型ドームの試作までを行ったものである。規矩術は日本の伝 統技法の一つであり，現在でも寺社建築の補修・再建現場等で使われ ているようだが，技術の継承という点では大きな課題を抱えていると 言って良かろう。その点では，本研究のように規矩術を使いドーム構 造のような現代的な構造物の部材角を求めるという試みは，教育的な 観点から見ても意義ある試みである。しかし，本研究では学生の実習 課題として小型ドームの試作までを行っているものの，それ以上の規 模のドームに拡張する際には三角形パネル同士の接合方法やクリープ たわみ等で様々な問題が生じる可能性があり，実現性という観点から はまだまだ検討の余地がある。今後の研究の進展に期待したい。%In case that a geodesic dome is constructed using wooden panels, the frame section of each panel becomes a parallelogram. Therefore, when constructing frames, it is necessary to obtain angles of the member section and cutting angles of the edge. We attempted to determine these angles by an illustration method using Japanese stereotomy traditionally used by carpenters in Japan. We examined an alternate 2v-type geodesic dome and consequently established the correspondence between results of geometric calculations and those of the illustration method. Further, a prototype dome was built on the basis of these results.