都市空間的制約を受ける大規模鉄道駅の線路上下関発に関する技術的課題の解決についてJR博多駅の事例

摘要

For the central stations in big cities that serve regional area, it is impossible to discontinue the railway operations and difficult to transfer the railway tracks. The passengers' safety and convenience need to be secured at first in order to start the development of the stations. This paper describes the case of JR Hakata Station project which solved such issues in the large central station development which were restricted by urban conditions, using various structural methods and techniques.%構造設計は，建物の実現に向けて解決すべき制約と課題の発掘に始ま る。次にそれらを解決する技術と計画を立案し妥当性を検証しながら， 建物に相応しい構造システムを構築する。その後は実現した構造を見守 る過程である。従来の技術報告は，この過程の中で生まれる独創的ある いは発展的な技術の事例が重視され報告されてきたと推測する。 本報告は構造設計上の制約の発掘と課題を解決するための技術あるい は構造システムの立案過程の紹介である。この建物の構造設計上の制約 は広範で複雑であり，案を詰めていくプロセスと構築された構造システ ムは優れたものであると評価される。しかし，解決のために適用された 技術とシステムは，執筆者みずからが述べるように既往の技術の利用で ある。 構造設計者が日常的に行っているこうした設計過程を，建築学会にお いて報告する意義と役割は何か？こうした報告をより積極的に評価する ために，技術報告委員会の見解が公にされることが望ましいと思われる。