生活密着型施設の事業継続性に与える地形・地盤条件の影響に関する研究: 2004年新潟県中越地震および2007年新潟県中越沖地震の事例

摘要

This paper studies the effects of geography and local soil conditions on business recovery time of the facilities closely related to daily life in the damaged earthquakes occurred around Niigata area on 2004 and 2007. By the integration of the various geographical data such as Engineering Geomorphologic Classification Map, and recovery time obtained by detailed survey of local newspapers, several specific features are made clear. The liquefaction index is considered to affect on the results, however, the interruption time of these facilities is more influenced by the elevation and slope angle of the sites especially in the earthquake of 2004.%本論文は，2004年新潟県中越地震と2007年新潟県中越沖地震により被害が生じた生活密着型施設の事業中断日数に対する地形・地盤条件の影響を検討したものである。従来，地盤災害などに対して地形分類や標高・傾斜等との関係を分析した研究は多いが，本論文のように商業施設の事業継続の観点から検討を行うという発想は極めて斬新である。一見　突拍子もないことのように見えるが，理にかなった考え方である。人は古来，目に見える地形と，目には見えないが経験的に知り得た地盤の硬さ，土質・土壌などを考慮して町や村を形成し，土地条件に合った産業を興し文化を培ってきた。一方，人間生活を脅かす自然災害も地形・地質が大きく影響している。このように，人間の営み全体が地形・地盤条件を礎としているとも言える。今後，東日本大震災の被害や復興過程の分析などの分野で，本論文のような新しい研究が芽生え・発展することを期待する。