せん断破壊した低強度コンクリート極短柱の補修効果

摘要

本研究は，あらかじめせん断破壊させた3体の低強度コンクリート極短柱試験体に対して，ひび割れを中心にエポキシ樹脂注入により補修を行い，その耐力上昇効果を実験的に確認するとともに，耐力上昇のメカニズムの解明を試みたものである。まとめとして，せん断破壊した試験体にエポキシ樹脂注入を行うことはひび割れの入る可能性のある危険断面近傍のコンクリートの引張靭性を疑似的に向上させることになり，結果的にエポキシ樹脂がせん断補強筋の役割を果たしている，と考察している。著者らは，本研究を継続的に行っており，既に主筋に丸鋼を用いた曲げ降伏型の試験体を対象にした実験により，曲げ強度と変形能が向上することを示している。また，せん断破壊する試験体についても耐力が上昇するという結論を得ている。本研究はこれらの研究の延長上に位置づけられるもので，低強度コンクリートを用いた極短柱についても既往の知見が適用できることを示している。%In order to continue to use buildings that have been severely damaged by a major earthquake, it is necessary to clarify the resistance mechanism of the repaired members. Focusing on the existing buildings with low strength concrete, experimental investigations were conducted using the short RC columns damaged in shear. In this paper, it is expected that the low seismic performance of damaged buildings can be restored by epoxy resin injection alone, although epoxy injection is usually used together with wrapping steel plates or CFRP sheets. The maximum strength of the repaired columns was greater than those of the original columns.