超音波測位による看護動線計測手法の開発: 昭和大学病院急性期病棟における調査報告

摘要

本報告は，看護スタッフ適正配置モデル構築を目的として，看護スタッフの動線を超音波測位により客観的に計測する方法の可能性を確認するものである。看護スタッフの動線については従来から精緻な調査が行われているが,多くは人手によるもので，調査期間•対象は人手で把握できる範囲に限られ，調査員の存在も影響を与えていた。試みられた方法は観察者非介在で，長期間連続的に全ての看護スタツフの動線が客観的計測できるものである。目的に応える新たな方法によって建築計画の研究は発展してきた。方法を開拓することの意義は大きい。一方で計測が自動化されることの懸念もないわけではない。調査者が実際に目で見，様々な感覚で感じあことの意義も見落としてはならないだろう。著者もあとがきで述べているように単に動線の距離や業務時間等の指標を考慮するだけでは不十分のこともある。有効な方法は使い方を誤らないように発展することを期待したい。%The ultrasound positioning technology used makes it possible to collect the data of the nursing activities consecutively for one week in the respiratory disease center of the Showa University Hospital. The total of 142 person-day and 1,464 person-hour of nursing traffic line data were collected. The nursing activities were visualized in motion picture, and the room-to-room movement patterns were visualized in network models. Analysis of the data clarified the length of stay according to place, the length of traffic line of each nursing staff. According to the nurses' attributes, the resultant data showed the characteristic nursing activities.