市庁舎基本設計における市民参加ワークショップの成果と手法の有効性に関する研究

摘要

In order to acquire the environment of city hall easy to use for citizen, making opportunities of community workshop in basic design are desired. Therefore, the study aims to verify the effectiveness of method and results of the workshops in the case of S city hall. Three types of correspondence were found between the drawings and citizen's opinions presented at the workshops. From analyses of the correspondence and questionnaire to the designers and administrative officers, it could be summarized that reflection of citizen's needs in the drawings and community development are both due to effective discussions on the workshops.%市庁舎の設計における市民参加の事例は少ないので，貴重な技術報告である。ただ本論文を一読して，ワークショップとは市民意見抽出の場なのか,また市民意見によって図面が変更になったから成果があつたと言えるのか，という疑問が湧いた。本来ワークショップとは市民，行政，設計者等関係者が水平の立場で議論を行い，対立を越えながらも相互に学習し，最終的に共同決定する場ではないだろうか。したがって，市民意見と図面変更が1対1で対応するのか,また対応したからといって，それを単にワークショップの成果と言えるのかという不安がある。仮に今回のワークショップの意図がそのような場だとしても，設計という行為は，1カ所の変更が空間の関係性ゆえに次々と何力所かの変更を余儀なくされることが多いため，市民意見と図面変更の対応を3種類に分類するのは単純化し過ぎではないか。さらに，ワークショップでの議論は基本設計だけに反映されるものではなく，実施設計あるいはその後の維持管理運営にも影響を与える場合もあるため，ワークショップの成果をあまり小さく捉えない方がよいのではないかという感想を持った。