長野県における遊休化公共施設の実態把握と立地環境の特徴

摘要

長野県の遊休化した公共施設の実態を，網羅的に調査·分析した結果の報告である。58の遊休施設の建築特性が明らかにされるとともに，その立地環境が，利用圏，過疎状況，周辺施設などの観点から類型化されているが,この類型は，集約的活用や解体など，遊休施設に対する行動指針としても読み替えられるように工夫されており，今後より顕在化するだろうこの種の問題についての，有用な成果たりえている。一方で，これら施設の母集団，すなわち長野県のすべての公共施設の実態との比較がなかったため，遊休施設に特有の建築特性が認められるかは判別できず，今後の課題だろう。また，本報告で提案された立地環境の類型化手法は，施設が稼働しているか否かに関わらず適用可能であるため，稼働中の施設に対しても同様の分析を行い，遊休化が生じやすい立地環境類型を見いだすことができれば，未然の策も講じやすくなるはずである。研究のさらなる展開を期待したい。%The aim of this study is to clarify the current state and location environment of unused public facilities in Nagano Pref. We researched the actual situation of unused public facilities by questionnaire survey to the 77 municipalities in Nagano Pref. and analyzed location environment of their facilities. As a result, through the analysis about the location of unused facilities, the facilities distribution, population and depopulation situation, we led to the 7 types of location environment that unused facilities are located.