竹を構造材料として用いた空間構造の設計および施工: 竹を構造材料として用いた応急仮設建築物の設計•施工の実例 その1

摘要

本報告は，豊富に存在する竹を利用した仮設建築物の設計·施工方法について報告したものである。敷地周辺で調達可能な竹を用いている点やクレーン等は使用しているものの工事の大半を学生，ボランティアという素人の手作業により行っている点において，大地震等における被災地の応急仮設建築物に対しても利用価値の高い提案である。また，鋸とノミを用いた手作業によって切欠き加工し，大きな力が生じる接合部での竹同士のすべりを抑えている点等には構造的な工夫を読み取ることができる。しかしながら，強制的に曲げて露出させたまま使用している竹材ゃ布テープの完成から4年弱における経年変化については気になるところである。一方，近年諸外国では竹を利用した恒久建築物も建設されており，竹を利用した点は注目に値する。本建築は，近い将来起こると予測されている大地震ゃ津波の被害に対する応急仮設建築物の方向性の一つを示すものであると思われる。%In this article, processes of the design and construction in an actual building made of bamboo are reported. The design and construction were required to be conducted so that it can be made by manual labor of students and volunteers due to the limited budget and materials right after the disaster of the East Japan Great Earthquake on 2011. To satisfy those requirements, bamboo which is supplied easily at near the site, was adopted as structural material, and handmade joint with enough strength was developed and the structural behavior and performance of this building were verified by experiments and numerical analyses.