南極昭和基地の自然エネルギー 棟における室内温熱環境に関する検討

摘要

地理的条件，気候条件の極めて過酷な南極における建物室内の温熱 環境制御に関する貴重な研究である。主要なエネルギー源を外部から の輸送に委ねるという点は，正に我が国のエネルギー事情と共通する ものだ。海氷の状態によって南極観測船の「しらせ」が接岸できない ような「非常時」を想定した自然エネルギー利用技術は，レジリエン ト性に優れた極地建築の存続に欠かせないものとなっている。研究対 象である自然エネルギー棟の建築•設備が一体化したデザィンに関し ては，吹き溜まり対策なども含めて企画段階からの検討が十分に行わ れたであろうが，論文に示されている期間においては，設計意図通り に運用されているようである。極寒冷地向けの軽油を使用した熱源機 器のエネルギー消費量などにも興味がある。稀有な研究対象であるの だから，空気式太陽熱集熱システムやアルミ床暖房システムの年間を通じての検証や課題抽出にまで発展した継続研究に期待したい。%The ecological environmental technique was tried on the 2 story complex building, named "Sustainable Energy Hut" that was built lately at Syowa Station, Antarctica. Air-based solar heating system was applied on the building. The computational fluid dynamics is tried on the indoor thermal environment of the building. Good agreement was found with the field measurement of the indoor temperature and the numerical analysis.