自然葬による日本的葬送儀礼の再編成: 亀岡新火葬場計画エリアにおける葬送空間のケーススタディ

摘要

散骨や樹木葬などに代表される自然葬は、匿名的で無形化された墓地を有する点が特徴的で、日本国内の公園墓地として既に実用化されている。一方、自然葬の墓地空間は⑴墓参や法事に対応する空間性、⑵故人を追悼し記憶するための儀式性の二点を欠いており、自然葬は日本的な葬送儀礼に必ずしも対応しているとはいえない。特に日本国内での自然葬に関する議論は墓地単体の制度的側面に限定される傾向にあり、日本的葬送儀礼の中での空間的位置付けが確立していないと考える。こうした中、自然葬を墓地だけではなく火葬場や斎場を含めた総体的な空間計画として扱う研究は見当たらない。そこで本提案では、墓地、火葬場、斎場を含む総体的な空間( 以下、葬送空間と呼ぶ) を対象に、自然葬を日本的葬送儀礼の中に結びつける次世代の葬送空間の構想を目的とする（図1）。構想に向けた研究フローは（図2）となる。