自動車排気ガス浄化用助触媒における酸素吸放出過程のその場観察

摘要

自動車排気ガス浄化触媒が酸化還元反応により排気ガス中の有害物質を無害化するには，反応場における酸素分圧の微妙な調整が不可欠である．セリアージルコニア固溶体（Ce_2Zr_2O_(7+x)0≦x≦1）は安定に酸素を吸放出する酸素貯蔵材料（助触媒）として重要な働きを担っているため多くの研究がこれまでなされてきたが，酸素吸放出過程における構造変化などの，未解明の課題の多い材料でもある．著者らは今回，触媒として白金微粒子を担持したセリアージルコニア固溶体の酸素吸放出反応を電子顕微鏡内で制御し，原子レベルでの規則構造変化と電子エネルギー損失分光（EELS）によるセリウムイオンの価数変化を直接観察することに初めて成功した．