慢性閉塞性肺疾患(COPD)

摘要

慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)は日本呼吸器学会「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン」において「タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生ずる肺疾患であり,呼吸機能検查で気流閉塞を示す.気流閉塞は末梢気道病変と気腫性病変が様々な割合で複合的に関与し起こる.臨床的には徐々に生じる体動時の呼吸困難や慢性の咳,痰を示すが,これらの症状に乏しいこともある」と定義されている.COPDにおける呼吸機能的病態の中心は,呼気気流閉塞である.気流閉塞の成因としては,①末梢気道抵抗の増加,②肺胞の弾性収縮力の低下,③末梢気道の呼気時の虚脱などが複雑に関与していると考えられている.①は喫煙の長期吸入によって末梢気道壁が肥厚し,粘液腺の過形成により気道分泌物の産生が亢進するため生じる.②は肺実質中の弾性線維の破壊·分断によって,肺胞自体の収縮するカが低下してしまうことに起因する.COPD肺では肺胞壁が破壊された結果,肺胞と末梢気道の接着が疎になり,末梢気道の形態を支えている「支柱」が減少している.③は呼気時に気道が虚脱しやすい状態を引き起こす.そして,呼気閉塞現象が助長されて,肺からの空気が呼出不良となる.