悩むケースに立ち向かつ！臨床推論のススメ方: 全国GIMカンファレンスより

摘要

本症例を一言で表現するならば，「生来健康な59歲の女性が，1ヵ月以上続く咳と倦怠感のために複数の医療機関で抗菌薬を含めた治療を受け，その後全身に瘙痒感を伴う皮疹と口内炎が出現し，食事もとれなくなつたため精査加療入院となった」となる.このプレゼンテーションを聞いて思い浮かぶ疾患は何であろうか.「薬疹」を想起した方は少なくないと思われる.本症例は入院4週間前から数種類の内服処方を受けているため見逃したくない鑑別の一つである.さらに口腔内粘膜疹を伴っているためStevens-Johnson症候群：SJS)や中毒性表皮壊死融解症(toxic epidermal necrolysis：TEN)といった重症薬疹を想起する必要がある.薬疹の診断は薬剤内服歴など詳細な病歴に加えて，全身の皮膚をくまなく観察し.皮疹の分布や性状を診ることが診断の第一歩である.重症薬疹をきたす被疑薬としては抗痙攣薬，抗菌薬，allopurinol,NSAIDsなどが有名である1).本症例は抗菌薬(azithromycinとcefditoren pivoxil)を内服している.