糖尿病診断基準とHbA1c の変遷

摘要

1.HbAIcは1993年のDCCT報告と同様に現在も糖尿病の管理指標である．2.HbAIc（JDS値）と空腹時やOGTT2時間値とは高い相関関係にあるが，ばらつきが大きかった．このことから，日本では1999年から疫学研究などで糖尿病頻度を推計するためにHbAIc（JDS値）≧6．1％が用いられてきた．3.1999年の基準では，糖尿病を確定するためにHbAIc（JDS億）≧6．5％ とされた．4.2010年からはHbAIc（JDS億）≧6．1％を糖尿病型として血糖値で糖尿病型である場合は臨床的な糖尿病と診断できることになった．この日bAIc（JDS値）6．1％は欧米のHbAIc（国際基準値）6．5％に相当しており，日本の基準値が世界の基準値と足並みがそろっている．5.HbAIc（JDS値）の意味づけは1999年とは違っているものの，もし過去の基準を順守してHbAIc（JDS値）が6．5％から6．1％に低下したと仮定すると，糖尿病と診断される症例は4％程度増加することが推測される．