column:透析方法の変更による透析中低血圧の予防

摘要

血液透析中の血圧低下の予防には,透析方法の変更も対策としてとられます.こうした対策には,血液量の維持と末梢血管抵抗の維持との双方のアプローチがあります.血液量を維持するためには,10%塩化Na注,あるいは50%ブドウ糖液といつた高張液の投与のほか,高Na透析(透析液のNa濃度を増加させて血管外からの水の移動を促進させ,除水に伴う血液量の減少を予防する),ECUM (extracorporeal ultrafiltration:透析液を流さず,溶質を除去せず,除水だけ行うことにより,血漿浸透圧の低下に伴う.血管外への水の移動を抑制する方法)が行われます.10%塩化Naの投与,高Na透析を透析終了直前に行うと,浸透圧の上昇から,ロ渴をきたし,透析間体重増加が大きくなることには注意が必要です.このため,透析終了 30分前までには中止する必要があります.また,ECUMでは,溶質除去が行えないという問題もあります.一方,末梢血管抵抗の維持のためには,低温透析(透析液の温度を低下させる)なども行われ,それぞれ有効性が示されています.