大腸がん肝転移の治療戦略

摘要

大腸がんはその治療過程で約10～20%に肝転移を発症し,無治療ならばその予後はきわめて不良である.大腸がん肝転移には同時性と異時性とがあり,同時性遠隔転移の頻度において,肝転移は10.9%と肺(2.4%),腹膜(4.5%),骨(0.4%)などへの転移に比べて非常に高率である.—方,原発巣の治癒切除後においても,初発再発部位で肝臓は7.1%ともっとも頻度が高く,肝再発を起こした症例のうち87.9%が術後3年以内に再発を認め,98.7%が術後5年間で再発を起こしている.大腸がんにおける肝転移は予後不良因子であり,大腸がんの治療成績の向上において肝転移に対する治療成績の改善がきわめて重要である.