Stage B: 心不全予防医学の本丸

摘要

1.この半世紀の医学の進歩により，心血管疾患の治療は飛躍を遂げ，その急性期死亡は減少したが，代わって中長期的に発症してくる心不全が問題となっている.2.さらに，わが国では未曾有の人口高齢化によって，「心筋リモデリング（線維化）」の危険因子となる高血圧や糖尿病患者が増え，サイレントあるいは虚血と関連のない心不全を発症する患者も増加している.3.心不全診療に要する医療費は莫大なもので，世界的にもより効果的で効率的な心不全治療を行うことが急務であり，Stage B (無症候性左室機能障害）での予防はこれまでになく重要な位置を占めるにいたつている.