特発性レム睡眠行動異常症におけるドパミントランスポーターSPECT

摘要

74歳ごろより睡眠中に大声を出したり，手足を動かしたりすることを妻に指摘されるようになった.睡眠中に体動が激しくべッドから落ちることもあり.精査目的に当科を受診した.神経学所見ではMini-Mental State Examinationは30点で，錐体外路症状を含め異常はなかった.頭部MRIでは異常所見を認めなかった.ビデオ撮影ド終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)では，レム睡眠期に上肢の筋活動の過度な亢進が観察された.PSG所見よりレム睡眠行動異常症(RBS)の診断基準を満たし，Parkinson病(PD)などの神経変性疾患の所見がないことから，特発性レム睡眠行動障害(RBD)と診断した.嗅覚同定カードキット(Open Essence, Wako)では12点満点中1点と嗅覚低下を認めた.MIBG心筋シンチグラフィー（心筋MIBG)では心臓全体の集積低下を認め，早期像の心臓(H)と上縦隔(M)比は1.34,後期像H/M比1.10と低下していた.ドパミントランスポーターSPECT(DAT SPECT)では左側被殻の軽度集積低下が認められ，Bolt法によるspecific binding ratio (SBR)は右側4.09,左側3.84と左側で軽度低下していた.