自己免疫性肝炎

摘要

自己免疫性肝炎（autoimmune hepatitis : AIH）は中年以降の女性に好発する肝炎で,何らかの自己免疫機序が関与することが想定されているが,まだその原因や病態は解明されていない.抗核抗体•抗平滑筋抗体などの自己抗体陽性や,血清IgG高値,interface hepatitis ·形質細胞浸潤といった肝組織像などの特徴的な所見がみられるが,決定的な診断項目はないため,他の原因による肝障害を除外したあと,これらの項目を総合的に判断して診断する.本邦では,AIH診療ガイドライン（2013年）に掲載された診断基準を用いることが推奨されるが,国際AIHグループ（IAIHG）により発表された改訂版国際診断基準·スコアリングシステム,簡易型国際診断基準·スコアリングシステムも参照する.しかし,これらの典型的所見を呈さない症例も存在することから,副腎皮質ステロイド投与による反応性も診断の一助となる.