米国原子力発電所の火災防護検査における指摘事項の傾向分析

摘要

わが国では,原子力究電所に対して規制当局が実施する検査制度の見直しが行われており，これまでの国による規制から，事業者の自主規制により安全水準の向上を目指したものとなっている.具体的には，これまで規制当局が実施してきた使用前検査や施設定期検査を廃止し,事業者が検査や主体的な合否判定を行い，事業者自ら問題点を改善するというものである.検査制度の見直しに当たっては，米国の発電所において2000年より開始され，検査，評価，強制措置の仕組みを統合したものである原子炉監視プロセス(Reactor Oversight Process;以下，ROP)を参考としている.本研究では，ROPのうちの一つである.火災防護3年毎検査について，米国で公開されている米国原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission：NRC)公式ホームページで入手可能な;検査報告書から指摘事項を抽出して分析することで;今後国内の原子力発電所の火災防護における安全水準向上のために参考となり得る手掛かりを調査した.