水質分析用機器はどこまで進化したか（その19）フローインジェクション分析法

摘要

フローインジェクション分析法（Flow Injection Analysis，FIA）は化学分析の自動化，高度化（感度，精度，迅速性，正確さ，簡便さ）に必須の分析技術である。本誌において先にFIAの基礎的概念や特徴・利点について述べ，窒素，リンを中心に実際に水質試験に適用されている例を紹介した。FIAの興味深い点としては，廃棄物を有効利用し，あるいはリサイクルなどによりゼロを目指し，環境負荷を極力軽減化しようとするゼロエミッション構想に最適な手法であること，また，様々な前処理操作をオンラインで自動的に容易かつ再現性良く行うことができること，必要な前処理（加熱，ガス拡散分離，溶媒抽出，固相反応カラム，紫外線照射など）装置を流れの中の適当な位置に組み込むことについても実例を挙げて述べた。本稿では，上述のFIAの特徴をうまく生かし，かつ基本概念を最大限利用した最近のいくつかのトピックスを，特に実用的見地から2回に分けて紹介する。