佐野川水管橋の推進工法による布設替工事について

摘要

佐野川水管橋は平成3年6月に竣工した比較的新しい工業用水道施設であるが，竣工して6年後の平成9年度に初回の漏水が発生し，平成24年度末現在の約21年間で32箇所もの漏水が発生した。漏水原因は，水管橋以南の地域で受水企業数が伸び悩み，水管橋での流速が遅くなったことで，管内部に工業用水が滞留し，その際に管内面の溶接部の小さな隙間に金属を餌とする微生物が付着することによって金属の腐食（微生物腐食；Microbially Influenced Corrosion，以下MICと記す）が発生し，また，海岸区域に設置された水管橋であるため，塩害の影響も推察された。以上の状況から，MIC対策，塩害対策，水管橋（橋台・橋脚を含む）の耐震性等を総合的に勘案し，水管備に替わり，地中に埋設する推進工法（小口径管推進工法（￠700mm,推進延長約90m,泥水方式））及びPIP工法（￠700mmのヒューム管の内部に￠600mmのダクタイル鋳鉄管（PN形）を挿入）により工業用水道管を海底へ埋設する更新計画を採用した。