よう素を用いる光度滴定法の極微量の硫化物イオン，亜硫酸イオン及びチオ硫酸イオン混合物及び温泉水の分析への応用

摘要

演者らは前報において亜硫酸イオンを一定過剰のよう素と反応させ，残りのよう素をチオ硫酸イオン標準溶液で滴定し，終点の決定によう素の吸光度を三よう化物イオンとして波長350nmで測定することにより，10~(-6)Mレベルの亜硫酸イオンの滴定法を報告した。他方，天然水中には亜硫酸イオンが硫化物イオンおよびチオ硫酸イオンとしばしば共存することが知られており，これらのイオンも亜硫酸イオンと同様によう素と反応する。このことから，亜硫酸イオン，硫化物イオン及びチオ硫酸イオンの3種硫黄成分の混合物に対し，波長350nmでのよう素の吸光度測定終点決定法を利用するよう素滴定法を応用した。その結果，10~(-6)Mレベルの3種の硫黄成分が相互に共存する混合物の良好なよう素滴定法を確立することができた。ここではその結果を報告する。