ミリ波帯導波管／マイクロストリップライン変換器におけるトラフモードと広帯域化

摘要

本論文では，導体板両張り誘電体基板をH面中央で割った分割導波管で挟み込んだ構造（いわゆるフィンライン構造）により，導波管／マイクロストリップライン／導波管変換器（変換部は2箇所）を50～75GHz（V帯）及び75～110GHz（W帯）用に試作した．上記の構造であるとH面管豊中央に基板誘電体幅の空隙が生じ，空隙への電界溶出が大きいとトラフモードが発生しやすく，その結果伝送特性が劣化することになる．そこでフィンラインの誘電体層の導波管壁面位置にビアホール列を設け，その配列を最適化することにより，導波管からの電界滲出を低減し広帯域化を行った．W帯ではビアホールの最適化でトラフモードが除去しきれず，伝送帯域の高域にトラップが残るため，電波吸収体を用いた除去対策を開発し更なる広帯域化を図った．試作変換器の測定結果はV帯変換器（2個分）で伝送損0.6～1.6dB,反射損9.5dB以上，W帯変換器（2個分）で0.7～1.6dB,反射損8.2dB以上が得られた．