言語グリッドにおける言語リソース改善方式の検討

摘要

言語グリッドでは，インターネット上の言語リソースを自由に組み合わせて言語サービスを利用することができる.しかし，現在の課題として翻訳精度の不足があげられる.翻訳精度向上の方法の1つとして，折り返し翻訳が用いられる.折り返し翻訳とは，他言語化したい入力文から他言語に翻訳した文章をさらに入力言語に翻訳することで，ユーザが入力言語のみで翻訳の正確性を確認することである.折り返し翻訳では，折り返して翻訳された文章と入力文を見比べて，ユーザが入力文を訂正し，もう一度折り返し翻訳で確認するという試行が繰り返されるので，ユーザの作業コストが大きい.折り返し翻訳におけるユーザの作業コストを軽減するための方法が提案されているが，ユーザが繰り返した試行や修正を完了した入力文などの情報は再利用されない.過去の試行から得られる情報を言語リソースとして再利用できる形で保存することで，より容易に翻訳精度の高い文章を作成できるようになる.そこで，本稿では，言語グリッドにおける翻訳精度の向上を目的とし，折り返し翻訳を対象に，ユーザの試行から得られる情報を言語リソースとして，収集・改善を行う方式を検討した.%The Language Grid is a new infrastructure on the top of the Internet that aims to improve the accessibility and usability of existing language services and so encourage users to create new language services that suit their needs. One the important service of the Language Grid is a translation using multiple language resources. For the translation service, back translation which compare input and output sentences is useful translation scheme to improve the correctness of translation. In this study, we focus on the information of back translation and discuss to use the information as a new language resource. By using the language resource, the information can be shared by many users and it can improve the correctness of translation.