事象関連電位による図形の数的処理における心的負荷の評価

摘要

本研究は図形と数字の数的処理における心的負担の指標として事象関連電位の計測を行い，心的負荷の生理指標の確立を目指した．本稿では心的負荷として図形と数字の数的処理において負荷となる要因が線分の配置によるものか（配置要因），数量の違いか（数量要因）を調べるため，被験者8人に対し，①図形が整列していて数量が少ない課題Alignment(1-3：easy)，②図形がランダム配置で数量が少ない課題Randomly(1-3：easy)，③図形が整列していて数量が多い課題Alignment(3-5：difncult)，④図形がランダム配置で数量が多い課題Randomly(3-5：difficult)からなる計4種類の数的処理の課題を課し，その事象関連電位を計測し，P300成分の潜時，振幅，およびボタン反応について検討した．振幅については図形配置あるいは図形の数量に対して効果が認められなかったものの，P300潜時とボタン反応時間については，図形の数量の増加に伴い潜暗が延長することが分かった．このことから，(1) 数的処理の生理指標として事象関連電位のP300潜時による評価が有効である(2) 刺激としての数的処理の難易度は，数字と図形の配置要因よりも数量要因に関係することが分かった．今後はVDT作業の心的負担評価へ適用する検討を行う．%This paper describes the quantitative evaluation for the mental workload with the numerical tasks. The line segment and a number were presented and set the subjects to a match/mismatch tasks. The mental workload was evaluated by the latency and amplitude in ERP. When the segment and numbers were determined by measuring the P300 waveform was observed. In addition, the smaller the amplitude of higher difficulty of the assignment, tended to have long latency.