地域別にみた疾病統計: 介護保険制度の施設サービス費用の在所日数の分布と、さまざまな平均在院日数•平均在所日数の比較•分析

摘要

分布·相関編は、長瀬恒蔵氏の「傷病統計論」 (1935年、昭和10年発刊)の跡を追って、目次を現删こ置き換えながら、稿を重ねることとしている。健保組合等医療保険者は、都道府県別医療提供体制の検討と都道府県別医療費適正化計画の策定等への関与が義務づけられていることから、地域別疾病統計を観察している。とくに、介護保険制度が医療提供体制の検討や医療費適正化計画の策定に関係しているため、平成28年7月号より介護保険の統計を観察している。本稿では、まず、在所日数の分布の差により介護保険の施設サービスにおける2種類の平均在所日数の統計が異なることを示す。次に、さまざまな在院日数·在所日数とその違いを算定の根拠と具体例で示す。とくに、医療保険のレセプトにある入院年月日は入退院を繰り返しても最大3カ月までさかのぼるが、介護保険の入所年月日は推計平均在所日数と同様の考え方であることをみる。最後に、医療の在院患者(状態統計)と退院患者(発生統計)の在院日数の分布の違いから、状態統計と発生統計の峻別と両方観察する重要性を確認する。